「尊敬しています」というとき、「respect」を使ってませんか?!【TIMELESS】
言葉と言うのは変遷するのが当然のもので、
どんな言い方が丁寧語で礼儀正しいかという考え方が時代によって変わったり、
昔は使わなかったカタカナが時を経て市民権を得たりするものです。
「リスペクト」というカタカナもその一つで、20年前は日本語として「リスペクト」を使う人はあまりいませんでしたが、
いつの間にかみんなが普通に使うようになりました。
皆さんも、「あの人すごいよね。リスペクトしてる。」とかいう風に、日常的に使っているのでは?
そういうときのリスペクトの意味は「尊敬してる」という意味で使っていますよね?
ではもし、自分が人生の目標とするような存在と言えるほどの尊敬する人物に会えたとして、
「尊敬しています!」と英語で伝えるとしたら、何と言いますか?
“I respect you.”…?
相手がネイティブスピーカーだったら、これでは「心から尊敬している、目標にすらしている」とまでのニュアンスは、
伝わらないかもしれません。
ではネイティブはこういう時、何というのでしょうか?
ドラマ「TIMELESS」から学ぼう、「尊敬しています」
「TIMELESS」は、歴史的人物や事件が毎回登場するSFアクション・ドラマ。
奪われたタイムマシンを取り返すため、歴史学者+軍人+開発者のチームが時空を超えて犯人を追うアメリカのドラマです。
(引用元:hulu)
18世紀や19世紀にタイプトリップしたりするので、内容の面白さだけでなく、
当時の英語の使い方や服装、街の様子までも楽しめるドラマです。
「尊敬しています」をネイティブは何と言う?
Episode2では、暗殺されるリンカーンの時代にタイムトリップするのですが、
歴史学者のルーシーは偶然、アブラハム・リンカーンの息子であるロバートに出くわします。
顔を見ただけで相手がリンカーンの息子だとすぐ分かり、
歴史学者としてリンカーンに尊敬を抱いているルーシーは、息子を前にして思わず興奮します。
相手に、以前に会ったことがあるのかと思われ、ルーシーは「お父様を尊敬しています。」と口にすることで、その場をしのぎます。
そのセリフは・・・
“I admire your father.”
そうです。こういう時にネイティブが使う動詞は、respectではなくADMIREです。
Admireと聞くと、「憧れる」とか「称賛する」と記憶している人も多いかもしれません。
しかし、admireの1番目の意味としては、「尊敬する」と捉えてください。
実際に英英辞書では、
If you admire someone or something, you like and respect them very much.
と説明しており、例文として↓を挙げています。
【例】All those who knew him will admire him for his work.
引用元:Collins Dictionary https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/admire
じゃあ「respect」は「尊敬」じゃないの?
「尊敬する」がadmireなら、respectは尊敬じゃないの?じゃあ、何?
と思った方へ、解説しますね。
↑と同じ英英辞書で、respectの説明を見てみましょう。
If you respect someone, you have a good opinion of their character or ideas.
【例】I want him to respect me as a career woman.
上記の説明を訳すと、「誰かをrespectしているなら、あなたはその人の人格や考え方について前向きな意見を持っているということです」。
例↑は、「彼に私をキャリアウーマンとして尊重してほしいの。」と訳せば、しっくりくるのではないでしょうか。
「尊敬してほしい」と訳してもいいと思います。
ただ、ここでの「尊敬」はあくまでも「尊重する」気持ちが基盤にあっての尊敬です。
英語の「respect」には、「相手の価値を認める」という意味が根底にあり、
「尊重する」とも「尊敬する」とも訳せるのですが、ぴったりくる日本語は「敬う」かもしれません。
「お年寄りを敬う」や「異文化を尊重する」ときなどに使うのは、respectです。
まとめ
上記のadmireの英英辞書の説明からも、admireの中に大いなるrespectが含まれている、
つまりrespectはadmireの一部であり、すべてではないことが分かりますね。
一言で言うなら、respectは相手を尊重するとか、敬う、という意味でを使い、
相手の活動や考え方を心から尊敬している場合には、admireを使うのが自然、というわけです。